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株式会社モノリクス

鉄道と飛行機と船とトラック、物流から見た違い。

コラム
齋藤紀之(さいとう のりゆき)

齋藤紀之(さいとう のりゆき)

代表取締役社長 兼 物流機械アドバイザー
特技:レゴブロックとパワポを使ったアイデア機械の構想
趣味:剣道(息子と毎週通っています)

貨物船

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今回は、よくある輸送手段から物流の仕組みを知り、物流改善のヒントを探したいと思います。

 

目次

■鉄道・飛行機・船・トラックから物流改善のヒントを!

 

鉄道:電車や汽車、列車、モノレール、新幹線などレールの上を走る車両
飛行機:旅客機、輸送機、軍用機、ヘリコプターや最近だとドローンなど 基本自由な3次元移動体
船:タンカーや貨物船、豪華客船やフェリーなど大量に運ぶことが得意な手段
トラック:基本的に幹線道路を走行、船などに乗って組み合わせ移動も可 台数が量を運ぶ

 

私たちの身の周りにある様々な輸送機械。その代表が船や飛行機、電車やトラックです。
このような身近な機械やシステムを題材にして、物流という観点でものを見たとき、私たちの作業現場にも応用できるヒントが見えてくるのではないかと思っています。

 

【大量に運ぶ】

 

さて、大量に荷物を運ぶ代表格が、船です。トラック1台や飛行機1機の比ではありません。
船は、一度に大量の荷物を運びます。しかし、速度が遅いことも特徴です。トラックや電車に比べると出航頻度が少ないです。大量に積み込むために、長い時間を必要とします。しかし、一度に運ぶコストが安いことも特徴です。時間はかかりますが、大量の荷物を安いコストで運ぶことが出来ます。

私たちの作業現場の、ちょうどトラックヤードでトラックに荷物を積み込んでいる状況と同じです。
トラックは、工場単位から見れば、船のように多くの荷物を運んでくれます。キャスター台車でトラックヤードに何度も何台も運び込む姿は、まるで船に載せる前のトラックやクレーンのようですね。多くのクレーンでコンテナを船に載せるように、人が何往復もトラックの中へ荷物を積むために動きます。

さあ、出航です。トラックがトラックヤードから出発するころ。外には次のトラックが渋滞中です。まるで、航行の多い港のようですね。大量の荷物を出荷する。積み込む時間、積む場所に荷物を集める場所と時間。そして、その労力。進む船の速度以上に止まっている荷物の停滞時間の方が長いかもしれません。

 

【運ぶ速さ】

 

それに比べて、速度を重視する輸送手段の代表が、飛行機です。飛行機の特徴は、早いがコストが高いことです。一度に運べる量が少ない分、一度の高い輸送費を少ない量で割るためコストが高くなります。路線バスとタクシーの差に似ていますね。
私たちの現場では、通常行っている定常作業に対し、突発の作業がそれにあたります。

通常であれば、台車やパレットに載せて運ぶ荷物をあるとき、この荷物1つ積み忘れた!ってことで、荷物1つ持って走ったことありませんか。1つの荷物を持って労力を使って通常より速い速度で持っていく。飛行機と同じです。タクシーと同じです。

物流作業の中にも小さな突発事項が沢山発生します。当初想定していた作業だけでは、どうも上手く行かない作業全てが、突発なのかもしれませんね。突発が毎日・毎回発生していることに気づかず、ずっと高い費用・労力を費やして、毎日・毎回飛行機で飛び回っているようなことは、ありませんか。定期便を上手く乗り継ぐことは、そこまでの最安値を目指すポイントです。

 

ただし、生鮮食品や特急料金で動いているものは、早さが付加価値です。早く正確に遅滞なく手元に届くことが、商品の価値を高めています。物流はすべてがコストです。でも、早く着くことは、価値です。早く届くこと自体が商品になります。特別に早く運ぶことが、この物流の儲からない時代の突破口かもしれませんが、LCCのように安くならないように気をつけたいものです。

 

【高い頻度】

ジャストインタイム:欲しい時に欲しい量が届くことは、最適な生産効率を求めるときに欠かせない事項のようです。
船が、大量のものを運べても、飛行機が速い速度で運べても満足できないことに、高頻度が挙げられます。

 

船に比べて、一度に運ぶ量が少ないトラック。飛行機よりも遅いトラック。しかし、日本の物流・流通の根幹はトラックです。では、その理由はどこにあるのでしょうか。
100の量を一度に運べるが、時間が100掛かる船に比べ、100台を使って随時発送するトラックは、受け入れの効率、出荷の効率がとても良い。荷物の待ち時間(止まっている時間)が短く、停滞・滞留が小さいため、出荷側、入荷側の作業分散に適しています。

 

物流作業で言えば、パレットに100個積んで、ある場所まで運び、そのパレットから使う荷物を降ろす作業と、コンベヤに乗ってゆっくりコロコロ運ばれてくる荷物が一定間隔で届く状況とよく似ています。
一度にまとめて運ぶことによって、運ぶ手間はかなり下がりますが、連続的にポロポロと到着することによって、使う側のペースに合い、結果その100個を効率的に早く処理することが出来る。

 

 

■鉄道と飛行機と船とトラックの軌道と自由

 

列車は軌道走行の代表です。レールの上を走ります。トラックは自由度が高いですが、やはり高速道路などメイン幹線を走る点において、軌道走行です。また、道路を作るなどインフラ整備に多額の費用が掛かっています。
船や飛行機は、航路があるとしても基本レールや道路を整備する必要がなく、自由な輸送手段です。
高額な飛行機を購入すれば、アメリカにもフランスにも飛ぶことが出来ます。船も同様で行き先を変更することにインフラ整備が要らない点において同様です。

軌道があるメリットとしては、レールを整備することにより、安価な機械で輸送効率よく安全に運ぶことが出来る。インフラ整備をしてしまえば、安定して輸送することができます。
しかし、インフラ整備の費用が多額。整備したラインの保守メンテ維持が大変などデメリットも多いです。また、大きな道路を街の中心に作った為に街を分断するよなことが起きることもあります。

 

物流作業における軌道走行の代表は、コンベヤです。コンベヤラインを整備することで、大量の荷物を低いコストで定間隔に送ることが出来ます。コンベヤラインは、安全に安定して自動で荷物を運んでくれます。
しかし、初期設備コストが高く、設置後のメンテナンス費用もかかり、場所も取ります。
コンベヤラインから離れたところに荷物を運ぶ場合は、台車やパレットなど船に載せ替えて運ぶ必要があります。

 

鉄道と飛行機と船とトラック特徴をつないで、物流改善のヒントを

大量に運ぶ船。速く運ぶ飛行機。安定して運ぶ列車。高頻度で運べるトラック。それぞれの特徴を述べましたが、物流作業においても同じような事象が見受けられます。では、これらの特徴を上手く組み合わせて、より効率的に働いているものはないでしょうか。
例えば、フェリー。道路までは、トラックで運びます。海上は船に載せて運びますが、荷物を載せ替えることなくトラックごと運んで行きます。着いた先の島でそのまま配達し、また船に載って戻ります。素晴らしく効率の良い運び方だと感心します。

海外輸送コンテナも一般的に使われる箱ですが、世界でこれ程共通した輸送規格も珍しいかもしれません。物流におけるパレットなどは、国・業界・企業において標準化が、まだまだ進んでいないのが現状です。
同じ規格のもので、船からトラック、鉄道と結ばれることで、非常に効率の良い輸送が可能になります。

 

物流作業における特徴の繋がりを考えると、コンベヤ(レール)からキャスター台車(船)に載せ替える作業をスピーディーにするCAS×CON、パレット(船)→パレット(船)へ載せ替えるパレットチャンジャー。コンベヤ(レール)と船を繋ぐパレタイザなど多くの物流機器があります。その他にもコンベヤラインへ荷物をダイレクトに載せずにトレーに載せることで、載せ換え効率を高める工夫など色々な考え方が存在します。

 

今回は、飛行機や船など大きな視点から物流を見つめ、自分たちの作業環境に落とし込んでみました。
是非、色々な視点から物流改善を試みてください。

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