あなたの物流アドバイザー MONOLIX

株式会社モノリクス

パレットを運ぶ

コラム
齋藤紀之(さいとう のりゆき)

齋藤紀之(さいとう のりゆき)

代表取締役社長 兼 物流機械アドバイザー
特技:レゴブロックとパワポを使ったアイデア機械の構想
趣味:剣道(息子と毎週通っています)

パレット

 

パレットについては、多くのサイトで紹介されているので、ここでは省かせて頂きます。

木製パレットについて:http://www.yama-muro.co.jp/siyou/siyou.htm
樹脂製パレットについて:http://www.sanko-kk.co.jp/products/pallet/

が比較的わかりやすいです。

今回は、パレットに荷物が載った状態で機械を使って運ぶことについて、説明します。

 

目次

■パレットをフォークリフトで運ぶ

 

パレットをフォークリフトで運ぶ
パレットをフォークリフトで運ぶ

 

パレットを運ぶ代表的な機械です。フォークリフトでパレットの穴(フォークポケット)を差し、パレットを持ち上げ、走行し目的位置までパレットを運び、地面設置後フォークを抜いて、完了します。
パレットの大きさに合わせて、フォークの爪長さを決めたり、フォークリフトの爪幅を調整してください。
フォークリフトのサイズで搬送できる荷物の重量に制限があります。 パレットには、2方差しと4方差しの2種類があります。

2方差しは、パレット側面のある方向にしか穴が無いので、南北方向から差せても、東西方向からは差せません。よって、保管スペースや通路検討の際にパレットの爪方向を意識しながら検討するようにしてください。
ある部屋からフォークリフトでパレットを出してきました。廊下に出たところで、パレットを置き、別のフォークリフトで引き継いで運ぶとします。

その際、狭い廊下が部屋に直交していたとしたら、廊下から来たフォークリフトが差せるパレットは4方差しパレットになります。もし2方差しを間違って選んでしまうと、毎回その廊下にフォークリフトが旋回し出て、相手フォークと同じ方向を向いてパレットを置かなければならなくなります。
それでも運用出来るから良いじゃんって思わないでください。ここが物流改善ですよ。
フォークリフトが荷物を持ったまま旋回して、パレットを置き、再びバックで旋回して部屋に戻る時間は、軽く1分のロスです。

時給換算で一回につき¥100近い無駄です。1日100パレット出したら¥1万。1年で300万円の損失です。また、タイヤの減りや難易動作による事故のリスクも高まります。気をつけてください。

2方差しパレットのメリットは、強度です。4方差しは2方差しに比べ強度が弱いため、撓み(タワミ)や変形の原因になります。自動化設備などに使う場合は、機械設備での可否判断も必要となります。

 

■パレットをハンドフォークリフトで運ぶ

 

パレットをハンドフォークリフトで運ぶ
パレットをハンドフォークリフトで運ぶ

 

ハンドフォークリフト(ハンドリフト)は、人力でパレットを運べる便利なアイテムです。動力のフォークリフトフォークリフトに比べ、搬送量や機動性には欠けますが、多くのメリットを持っています。

 

①免許、資格が不要で、誰でも取り扱うことが出来る。フォークリフトの免許を持っていなくても作業ができるので、メンバーを特定せず、作業人員を確保出来る。

②車両と人をエリア的に区画規制出来る。”歩車分離”と言います。一般生活では、車道と歩道を区画区分することは、安全面から必要と考えます。工場の中も同じです。フォークリフトと人が作業する場所を区分することは、労働安全の面から考えても重要です。

③フォークリフトが入れない狭い場所やクリーン環境を重視する場所などのパレット搬送に最適です。
ハンドフォークは、数十mmしかパレットを持ち上げないので、設備からの受け取りや段重ね、多少の段差にも弱い点が難点です。よって、機械設備(コンベヤなど)から受け取る際は、ピット内に埋め込まれた設備から受け取るなど床とフラットであることが必要条件です。

 

■パレットをコンベヤで運ぶ

 

パレットをコンベヤで運ぶ
パレットをコンベヤで運ぶ

 

パレットを運ぶものの固定設備代表がコンベヤです。1トン近い重量を運ぶコンベヤなので、それなりに強靭な構造です。パレットを運ぶコンベヤの代表にチェンコンベヤとローラコンベヤがあります。
それぞれの構造は別の会で説明するとして、その用途について説明します。

 

チェンコンベヤ:パレットを搬送するコンベヤの中では、一般的に最も安価なコンベヤです。二本のチェンをパレットの少し内側に通し、そのチェン上に置いたパレットをチェンを牽引することで搬送します。

パレット底面が比較的平らでチェンに接する部分が多いこと、チェンとチェンの間でパレットが撓まない(搬送面から10mm以上下に垂れ下がらない)こと がチェンコンベヤ選定の第一選定基準です。

それ以外に、コンベヤ搬送方向と直交する方向からフォークリフトで載せ込んだり、取り出したりする場所には、適しません。その場合はローラコンベヤを選定します。

 

ローラコンベヤ:搬送方向に複数本のローラーを配置しパレットを搬送するコンベヤです。一般的にパレット幅のローラを準備し、70~200mmのピッチ(軸⇔軸間隔)で配置します。

パレットのサイズ、底面形状から安定して搬送できるピッチを選定します。木製パレットなど底板の方向によっては、搬送面に対し、凸凹になる場合があり、ローラ搬送に適さない場合があります。

 

上述のとおり、フォークリフトのアクセス条件によってローラーかチェンかを選択します。
ローラコンベヤのメリットは、複数のパレット種類があるときでも搬送が可能です。高重量まで対応可能です。精度の高い(振動や平面度重視)の搬送に対応できる。などが考えられます。

 

■パレット搬送の注意点

荷崩れ:ストレッチ包装機の回で説明しましたが、パレットに積んだ荷物が崩れることを言います。防止するためにストレッチ包装したり、紐結束したり、バンドがけします。また、積み付けパータンを組んで配が割れないように工夫します。

オーバーハング:パレット外周から荷物がはみ出ている状態を指します。自動倉庫に格納したり、コンベヤ搬送するときなど、パレットから荷物がはみ出ていることによる不具合が見かけられます。設備に対するオーバーハング量が決まっています。仕様決定時に良く確認が必要です。

偏荷重:パレットの一部に荷物が載っており、全体的に偏った荷姿になっている状態。端数をパレットに載せる場合などに、起こります。コンベヤ⇒コンベヤ移載間で乗移り不良を起こしたり、フォークリフトの搬送時の不安定搬送に繋がります。

 

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